2005年3月23日          地震と津波 −− その2
○福岡県を震源とする大きな地震が起こりました。すでに報道でご存じかと思いま
すが、都市部を襲う直下型地震として、10年前の阪神大震災と同じような被害が
出ています。被災された方々には、心からお見舞い申し上げます。そして、一日も
早い復興をお祈り申し上げます。

○このたびの地震では、津波の発生はなかったようで幸いでした。島の被害も大
きかっただけに、津波がもし来たらと、不安だったろうと思います。

 福岡は、これまで、あまり地震の無かった地域らしいですね。10年前の阪神以
後、国内は地震の活動期に入ったのでは、とする意見があるらしいです。TVで言
っていました。本当なら、恐ろしいことです。


○いつ来るかわからない地震ですから、対策も常に行っておかないといけないわ
けで、だからこそお金もかかります。タンスや書棚が倒れてこないように、金具を付
ける。というような作業ですら、そこそこのお金と労力が必要ですから、何かきっか
けがないと、実行されにくいのではないでしょうか。ですから、大きな地震が起こっ
たときを、踏ん切りの機会として、安全への備えに取り組むというのも、一つの方法
かも知れません。


○さて、10年前の阪神大震災の時の被害ですが、こちら城東区では、家屋の倒
壊であるとか、高架橋の落下であるとか、大火災であるとかの、ものすごい被害は
出ませんでした。神戸や淡路に比べれば、こちらの被害など、ないも同然、という
感じではなかったでしょうか。

 でも、区内のマンションというマンションには、亀裂が走っていたのでした。もちろ
ん、それぞれに復旧工事が行われ、亀裂は埋められ、上から塗装もされて、何事
もなかったかのように、この10年が過ぎました。

 ところが、10年経って、あちこちのマンションで、「今さらの被害」が露わになりま
した。細かな亀裂への対処が十分でなかったマンションで、外壁やバルコニーの
コンクリートの爆裂が多発しています。

 爆裂というのは、建物のコンクリート部に水が浸み込み、内部の鉄筋を錆びさせ
て、徐々に太らせ、やがてコンクリートを内部から割ってしまうことを言います。コン
クリートは本来、アルカリ性なので、中の鉄筋を錆びさせることはないと思われてい
たのですが、建設の際に使用された砂が、塩分を含む海砂であったり、雨水が酸
性化していたりすると、コンクリートが酸性化しやすく、そうなると鉄筋の錆による膨
らみは、急速に進行すると言われています。外部とコンクリートを遮断していた塗
装が地震によって弱くなり、さらに亀裂によって直接水が入り込む事により、コンク
リートの強度は大きく劣化させたと考えられます。

 昨年9月の和歌山件を震源とする地震の時、城東区のあちこちの建物で、コンク
リート片が落下しました。コンクリート塊というべき大きさのものも落ちていました。


○このため、年末にかけて、いくつものビルやマンションで補修工事が行われました。聞いたところでは、あるマンションでは、震災の時の細かな亀裂から入った雨
水が、「毛細管現象」によって建物の奥深くまで侵入しており、根本的な修理には
相当な金額と費用を要するとの診断が出されたそうです。そして、お金と時間をか
けても、ほんとうに元通りになるかというと、それは無理で、やらないよりはやった
ほうが、建物の強度の維持にはなるだろう、くらいのところだと言われたそうです。
 そのマンションの管理組合では、そこまではとてもできないので、外壁の補修だ
けに止めたと言うことでした。


○また実際に、建物の躯体の中に水が入っていた例として、このような事がありま
した。場所は、兵庫県芦屋市の、西の方です。神戸市東灘区に近い、そのマンショ
ンでは、平成7年1月17日早朝、立っていられないぐらい揺れたのですが、幸い、
倒壊には至らず、補修工事を行うことで、住民はそのまま住み続けることができた
、という事でした。周辺の木造住宅はことごとく全壊した中、そのマンションは丈夫
に建っていてほんとうに良かったと、みなさん思っていたのです。

 ところが、昨年の台風18号襲来の折、猛烈な風雨がこのマンションにも吹き付
けました。すると、風雨の当たった方の壁の、壁紙がぶよぶよと裏から剥がれ出し
、次には鉄錆色の水が、壁からわき出して、床に流れ落ちました。かなりの量の水
が、住居内に入ってきて、カーペットなどにも被害が出たそうです。

 これはまさに、震災以来の10年間に、雨水が毛細管現象によってコンクリートの
奥深くまで浸み込んでいたことの結果なのでした。

 このような建物は、耐震強度が落ちていると思われます。次また、あのような大
きな地震が来たら、今度は倒れるかも知れない、と、住民は心配しておられるそう
ですが、根本的な補修というと、コスト面から、現実的ではないとのことでした。


○阪神大震災直後は、資材も職人さんも足りない中、たくさんの建物が奪い合うよ
うにして補修工事を行ったのですが、専門家に聞くと、「手抜きや素人工事が多い
」ということです。残念なことですが、あの時の状況では仕方なかった面もあるでし
ょう。
 これから、大規模修繕工事が始まるマンションに住んでいる方は、ぜひとも工
事に関心を持っていただき、見た目のきれいさだけでなく、耐震強度はどうなって
いるのかというような事についても、チェックしていただくことをおすすめします。


○ほんとうに、地震による被害は、いつまでもひきずってきます。
忘れないで、関心を持ち続けなければと思います。